肯定とは、「あなたはあなたのままでいい」を伝えることです
-「肯定する」と「ほめる」の違い-
ここでは、私の定義でお話しすることをご了承ください。
「肯定する」ためのひとつの技法として「ほめる」があると思います。ですから「ほめた」としても、「肯定」にはなっていないことがあるということです。皆さんもほめられたのに気分が悪かった経験はありませんか。
私が以前あるイベントに参加した時に、背が高くてプロポーションのとても良い素敵なお姉さんがおられて、私は背が低いので思わず「背が高くていいね」と言ってしまいました。その方は背が高いことがとても嫌なことだったようで、とても不機嫌になられました。「お姉さん、なんか素敵ですねっ!」って言ったら、少しは喜んでくれたと思います。
自分が嫌だと思っているところや、自分が出来ていないと思っている事を単純にほめられても、嫌みにしか聞こえません。上手にほめていただけると肯定になります。
「上手にほめる」とは相手の方の話をよく聞き、表情などをよく観察して、相手の方のほめてほしいサイズに合わせてほめるのです。そうすると肯定になります。
たとえば、仕事をさぼって旅行に行ったとします。そんな時、「旅行にいけてスゴクいいね」って言われたら、仕事をさぼった事を責められていると感じてしまうかも知れません。でも「旅行に行けてちょっとよかったね」って言われたら、嬉しくなって旅行の話をたくさんしてしまうかも知れません。ほめのサイズで肯定にも否定にもなります。
相手の方がほめて欲しいと思っているところを、ほめて欲しい量だけほめて、相手の方が否定して欲しいと思っているところを、否定して欲しい量だけ否定すると肯定になります。
言葉がけをした時、その言葉で相手の方が嬉しくなったり、自信が持てたり、ホッとしたりと、相手の方の気分が良くなれば、その言葉は相手の方にとっての肯定の言葉になっていると思います。肯定するとは「あなたはあなたのままでいい」というメッセージを伝えることです。
-肯定する時の注意-
「もっと頑張らなければいけない」と思っている患者さんに対して肯定する言葉がけを行うのは難しくトレーニングが必要です。患者さんの思いより大きく肯定してしまうと、否定されたと受け取られることが多く、強く否定するよりも傷つけてしまいます。また治療者の価値観で肯定してしまうと、患者さんに無理な指示を与えることになり、依存関係になってしまうこともあり危険です。
肯定するときのコツは、治療者の価値観で肯定するのではなく、患者さん自身が良いと思っていたり、少し頑張っていると感じていることを、大き過ぎず、小さ過ぎず、患者さんが心地よく受け取れるフィットしたサイズで肯定することです。それには患者さんの表情をよく見て心地よく思われているかどうかを慎重に観察しながら言葉を選ぶことが大切です。そして注意しながら少しずつ肯定します。よく観察すると努力されていたり、頑張ろうとされているところは必ずあります。それを見つけて肯定します。
ワークショップで具体的に学ばれトレーニングしてから患者さんに提供してください。
カウンセリングルームCo.koro 濱田恭子
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